疾走

この前雪が降ったばかりなのに、もうあの茹だるような季節がやってくるかと思うと辟易する。歳をとればとるほど時間が過ぎるのが早く感じると聞いたことがあるが、それが本当だとしたら自分も確実に歳をとっているようで、それもまた憂鬱だった。
時間が過ぎるのは本当に早い。早すぎる時間の流れに頭も体も追いつかない。特に今月は顕著だった。あっという間に過ぎ去ってしまった。ゴールデンウィークに入り少し時間ができたので時間の流れにせめて頭だけでも追いつかせておこう。

正直言うと僕はサークル内の仕事というものを舐めていた。舐め腐っていた。「好きなやつらと一緒にいられるだけで何でも幸せ!楽しい!!」なんて自分の考えを振り返ると、本当に頭がお花畑なんだなと思う。
本当にしんどかった。貢献しようとして空回りすることは何度かあったが、またあの時みたいに全てを失うのは本当に怖かった。自分の感情も考えも非常に極端で、いつも生きるか死ぬかみたいな選択をしてしまう。情熱はあってもそれを冷却できる装置がなければ事故を起こしてしまうなんて自明だったはずだ。
肉体的、精神的、経済的に本当にしんどかった。ここまで忙しい月は多分なかったのではないか。楽しいことももちろんあったが、それ以上に辛かった感情が上回っていた。4月の終わり頃、「先輩たちみたいに終われたらいいな」なんて声をかけてくれた親友を僕は裏切ってしまった。僕も結局はそれが最も願っていることなのに、少し風が吹いただけでもグラグラと揺れてしまう。全く不安定な人間だと思う。きっと彼なら「そんなの大したことじゃない」と言うかも知れない。大義を忘れないために、細かいことは忘れたほうがいいのかもしれない。
前述の通り久しぶりに空いた時間ができて、僕は2日間家に閉じこもった。溜まった録画を見て、ゲームをして、youtubeで音楽を聴いて、飽きたらギターを弾いて。その中で、3月から4月にかけて撮った動画や画像を整理し、思い出に浸った。卒業まで走りきった彼らはやりきった顔をしていた。涙は流していたが、きっといろんな感情が詰まった涙なんだろうなと思った。


生産性はなかったが、自分を落ち着かせ、再び飛び立つにはちょうどいい助走になったのではないかと思う。無駄な時間だったが、何も消費することがなく2日間を過ごすことができた。3日目の今日、2日ぶりに外に出た。夜風が涼しく、服2枚で外に出ても程よい気候だった。いつまでもこんな季節がいいなと思った。そうはいかないことはわかっている。だがこの春と夏の狭間の季節を噛み締めて、僕は大事にしていきたいと思う。
そしてとりあえずはこの春の終わりまで走って、またくるであろう台風や猛暑や豪雨に耐え切れるような自信と勇気を身に付けたいと思う。

去年は本当に素晴らしい一年だった。今年ももっと素晴らしい一年にしたい。また季節が過ぎて春になったら、今度は何を思うのだろう。どんな思い出ができているのだろう。それが気になるのでとりあえずはまた来年の春までは自分の様子を見てみることにする。

 

「季節が3つ過ぎただけで 何の変哲も無い 日々が巡り ああ、こうしていつのまにかそっとそっと忘れてゆくのかもしれないなあ なんてふと考えたりした」