五月雨

僕は頭が弱いのでよく傘を忘れる。家に忘れるのはもちろん、コンビニの傘立てだったり、バイト先の傘立てだったりする。松屋の傘立てに忘れたこともある。高校の時から3ヶ月以上同じ傘を使っていた記憶がない。

雨は誰にでも等しく降る。もちろんそれは突然降る雨だったり、激しく降る雨、しとしと穏やかに降る雨だったりするだろう。

問題は雨が降ることではなく、傘を持っているか持っていないかだ。もちろん僕は傘を忘れているので、コンビニで傘を買うか、諦めて濡れて帰るかの二択を迫られる。傘を持っている人は傘をさせばいい。恋人がいる人は恋人の傘に入れてもらえばいい。

五月は非常に強い雨が降った。止むことを願ったが、未だに止む気配はない。必死で走った。走って早く家に帰ろうとした。けれども僕はずぶ濡れになった。雨に濡れながら必死に走る、そんなのは誰にも評価されない。傘を忘れて走っているバカだからだ。滑稽だからだ。評価されるべきは家を出た時から傘を持っている人間だ。羨望の目を向けられるのは恋人の傘に入る人間だ。

ひたすら走っても、雨は降り続ける。

僕は一人で濡れ続ける。

 

 

 

 

 

Base Ball Bear 「明日は明日の雨が降る」

 

絶望に呑まれたとか そんなんじゃない
暗がりに気付いただけ ただそれだけなのに
悲しくも寂しくもないが 虚しい
満たされた明るい毎日なのに
煮え立つ暗い闇に響かない

明日も雨は降るのだろう
あの壁の向こうで笑う 自分を思ってみる だけど
誰かと僕も繋がれたら 求めれば 求めるほど 理由などないことが虚しくなる

期待なんてしてないとか 言い聞かせてる
それでもどこか待ってる 自己矛盾が繰り返す
泣きたいのに何故だか泣けない
込み上げる感情の波が来ない
さらにもうひとつ気付くときがこわい

Ah まだ雨は降るのだろう
あの壁の向こうで笑う 自分を思ってみる だけど
誰か僕を助けてよ 求めれば求めるほど

僕は僕のことが嫌になってくる

悲しくも寂しくもないが 虚しい
そもそも LONELY 終わりなんて来ない
僕はいつも 僕とひとりきり

明日になれば泣けるのかな
あの壁の向こうで笑う 自分を思ってみる だけど

明日も雨は降るのだろう
涙と思ったら雨だ
明日は明日の雨が降るよ 雨が降るよ
今 目の前の壁 濡らす心の雨
究極にひとりだね 煮え立つ心の影
すべてが期待はずれ そのくせ期待していて
体の中の風 止まない心の雨