2018-01-01から1年間の記事一覧

銀河鉄道の夜

北風は吹雪くのをやめ カシオピア輝いて 恋人たちは寄り添って 静かに歌うのでした 恵比寿ガーデンプレイスは煌びやかで、そこに集まるカップルたちは穏やかな様子で赤い絨毯の上を歩いていた。「もうクリスマスだね」と君は言った。そうだね、と僕は返して…

蒼き日々

「1年通してやり続ける」ことの難しさと言ったら別格なものがある。「1年間歩き続けていかなければいけない道」を始めて見通した時には茫漠とした不安感や絶望感を想ったものだ。途中には雲を突き抜けるような巨大な壁があったり、土砂降りの雨が降って凍え…

かわらないもの

このブログでは無意識だがいつも「無常観」について書いている。 もれなく今日もそのことについて書く。 ①胡蝶蘭の落ちる前に 毎年恒例のことだが、親の実家の方へ帰省をした。僕は去年運転免許を取得したのでそこで何回か練習をした。最初は不安だったが、…

白夜

夜は唯一の休息時間であり、一人になれる時間であり、つまりは心と体を本当に休められる時間だった。だから僕は夜が好きだった。中学の時にそれを友達に伝えると、おちょくるような声音だったので不快に思った覚えがある。 夜になると、家に帰って、ベッドに…

TONIGHT

「小学生の時に習い事をたくさんしておけばこんなことにはならなかった」そう思っていた。だが、小学生の時に遊び呆けた代わりに残してきた思い出は数え切れないほどあった。マンションでやった鬼ごっこ、少ないお小遣いを持って行った駄菓子屋、今は変わっ…

梶井基次郎「檸檬」的、彷徨少年の憂鬱

えたいの知れない不吉な塊が私の心を始終壓へつけてゐた。 いつでも、どこを歩いていても、何キロもある土嚢を背負っているかのように身体が重かった。いつも歩いているはずの大学への道のりも、やけに長く感じた。道を歩く人々が、敵のようにも感じた。歩い…

今日という日にあったこと

①既視感、距離感、人生観 初めてのバイトだった。小学校は窓も、洗い場も、何もかもが低くて、ガリバーの気持ちを思った。そんな小人の世界にも、かつて見たことのあるポスターや先生の服装、学校のしきたり、そんなものが僕らの時代と何も変わることなくそ…

五月雨

僕は頭が弱いのでよく傘を忘れる。家に忘れるのはもちろん、コンビニの傘立てだったり、バイト先の傘立てだったりする。松屋の傘立てに忘れたこともある。高校の時から3ヶ月以上同じ傘を使っていた記憶がない。 雨は誰にでも等しく降る。もちろんそれは突然…

疾走

この前雪が降ったばかりなのに、もうあの茹だるような季節がやってくるかと思うと辟易する。歳をとればとるほど時間が過ぎるのが早く感じると聞いたことがあるが、それが本当だとしたら自分も確実に歳をとっているようで、それもまた憂鬱だった。時間が過ぎ…

1/1の自分

自分の悪癖として、必要以上に卑下したり、逆に見栄を張ったりしてしまうところがある。とくに前者はかなりひどく、その卑下によって精神を病んだり自信を失ったりしてしまう。これは一種の病気なのではないかとすら思う。その自己否定によって必要以上の重…

愛にまみれて

【一般論】 小学生の頃、一番好きな漢字は「愛」だった。直江兼続の兜に書かれていてかっこよかったし、漢字自体の形も好きだった。愛という漢字は名前でもよく使われるし、どんな人も多かれ少なかれ愛を求めている。もちろん、それには個人差がある。少量の…